エンジンキーを切ると自動的にルームランプが点く。
左腕のG-SHOCKは 【AM 2:06】
別にコレといって 男の好きなアイテムではないが、コイツを使い始めて2年。
文字盤も小さいし周りの4つのボタンも操作しにくい。
以前使ってた○イコー○ンナーズの方が遥かに使いやすい。
全てにおいてG-SHOCKより使いやすい。
しかしながら1点だけ 対水圧だけは勝っている。
若いライバルは【10BAR】に対し老計ながら【20BAR】
水仕事や水泳・ジェットスキーには使えるがスキューバには不向き。
『スキンダイブくらいなら使えるだろう』と思い、
又、戦車のキャタピラくらいの硬いベルトもキライではなかった。
即買いではなかったが、目が合ってしまった。
美人に会った時の感じに似ている。
お互い 一瞬 目を合わせるが 逸らしてしまう。
一呼吸おいて 相手のいそうな場所に目をやると又、目が合う
『やぁ!』って、美人には近づき難いが、
時が相手なら なお更 無言で近づかなければ・・・
水洗いし大事に使う なんて事は一切せずに
男の道具として使うだけである。
壊れたら又、別のを買えばいい。未練なんてサラサラない。
たまに 外すのを忘れナイロンタオルでボディーを洗ってる時に《気づく》
そのくらいなもんだ。
ドアロックを解除し 右肩をあて もたれるように上半身だけを風にさらしてみる。
ちょっとだけ 風を吸い込んでみる。
少し・・・少し
舌の奥で喉をふさぎ 肺に入った風を少しづつ 出してみる。
南西の風だと思う。
その風上に 木蓮の花が咲いているのだろう。
ほんの少し 色のついた香りが鼻腔に残る。
男は思い切って出てみた。
身長 178cm 体重68kg
年の頃は35才頃だろう
テットオムの黒いハイネックのシャツにレッドペッパーのストレート
皮ベルトはもちろんクロムハーツ バックルはミリタリータガー
おそらく合わせているのだろう CHクロスがさり気ない。
これがフィリグリーだったら台無しである。
靴にいたってはローファー系のモンターナ
髪は漆黒のように黒く クールカットにしている。
テットオムを脱ぎ 黒い BODY WILD のTシャツになると
着痩せするタイプなのであろう、分厚い胸板がむき出しに
上腕二頭筋から手首にかけてのラインが 二等辺三角形のようだ。
胸板から腹にかけては ワンサイズ小さ目の BODY WILD のせいか
同じ年頃の管理職達とは明らかに違う 刃金のような締まり具合だ。
15℃とはいえ 深夜2:00すぎ
さすがの男も上だけは防寒ジャンパーのジッパーを上げた。
そして マズメレッドムーンネイビーを一瞬で着る。
羽織ってからジッパーを上げるまでの動作が一連だ。
男の背中をみると ルアーケースが外してある。
男にとって 背中のケースなど無用の長物でしかないのであろう。
事務的にアブガルシアとイグジストをセットし
イグからイエローの4lbPEを出し RS-732ULS のガイドに通す
トップガイドからの4lbを摘みフロロの3.5lbに ノットを組み込む。
男は一点だけを見つめ器用に指を動かしている。
十分に絞め込んだあと 余分なラインをポケットからの鋏で切り取る。
切りくずは小さいビニール袋に入れてしまった。
男が仮に、切れっぱしを捨てる姿を想像してみると 実に滑稽だ。
全く 絵にならない。
そんな妄想をしてる間に 男は 3.5lbの端を掴み
3回腕を広げた。
いわゆる《3ヒロ》である。
通常なら《1ヒロ》までであるが、おそらく男のこだわりだろう・・・
2gの弾丸をノーネームノットで絞め込み 余分な切れ端を切ろうと
『あっ』
木蓮の甘い香りが背中から漆黒の髪にかけて男を揺らした。
『ちぇっ』
左手には小さいビニール袋が甘い香りだけを入れて揺れていた。
ビニール袋のチャックを締めレッドムーンの右の胸ポケットに入れ
6LEDを首に掛ける
ライトはまだ点けない
衣装ケースから ダイワのスパイクを出す。
近くには民家もあり音が出ないよう そっとスパイクを履き
静かにリアドアを閉めた。
10歩ほど歩くと広大なテトラ帯が広がり 無限の可能性を秘めている。
男は外灯の下に立ち 左から右にかけて ユックリ頭を動かしている。
ジグソーのように並べられたテトラ帯でも
男にとっては軽いウオーミングアップ程度のパズルである。
下る道順は決まった。
狩猟の始まりである。
すいません 雨降ってたんで 妄想してました。